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先日、ものづくり補助金20次の採択結果が公表されました。
今回の採択結果は以下のとおりです(グローバル枠を除く)。
申請者数: 2,276者
採択者数: 784者
採択率: 34.4%
前回の19次(申請者数5,025者、採択者数1,623者、採択率32.3%)と比較すると、申請者数・採択者数共に約半減したことが分かります。
この結果について、公募要領の主要な変更点と照らし合わせて分析していきます。
採択率の推移グラフ
以下、グローバル枠を除いた採択結果をグラフにまとめたものです。
17次は省力化枠のみであるため除外させていただきます。

※抽出条件
1〜12次はデータポータル、13次以降は中小企業庁の採択結果ページを参照しています。
全体の申請件数よりグローバル枠を除いた枠を集計したものになります。
各回の採択率は採択者数÷申請者数(共にグローバル枠除く)で算出しています。
特に14次以降、公式発表の採択率とは定義が異なるため、比較の際はご注意ください。
以下、20次申請において申請者数・採択者数が半減した3つの要因について解説していきます。
要因①:公募間隔の短縮
18次と19次の間には約1年の公募間隔がありました。インターバルが長かったため、19次には5千者以上もの申請が集中したと考えられます。それに対し19次と20次の公募間隔は約3ヶ月でした。この短い公募間隔が、申請者数減少の一因となったと推測されます。
要因②:公募要領の変更による規制強化
1)変更点① 過去の補助金受給実績からの補助金交付条件の規制強化
公募要領P12抜粋

具体的には、申請締切日(2025年7月25日)から16ヶ月以内(19次では14ヶ月以内)に、以下の補助金に採択された事業者、または交付決定を受けて事業を実施している事業者は交付対象外となりました。
⇒対象となる補助金
・中小企業新事業進出促進補助金
・中小企業等事業再構築促進補助金
・ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
以前はものづくり補助金のみでしたが、今回から「中小企業新事業進出促進補助金」と「中小企業等事業再構築促進補助金」が新たに追加されたことで、制限される事業者が増加しました。
※複数補助金への同時期応募は可能ですが、同時採択となった場合、交付を受けられるのは1件のみです。
⇒具体的な例
・中小企業等事業再構築促進補助金
第11回:採択公表日 2024/2/13
16ヶ月経過しているため、採択されていても交付可能でした。
第12回:採択公表日 2024/11/8
16ヶ月以内のため、採択されていて辞退していない場合、交付不可となります。
第13回:採択公表日 2025/6/30
ものづくり補助金と両方採択された場合は事業者様がどちらの補助金の交付を受けるか選択する必要があります。
片方は辞退する必要があります。
・中小企業新事業進出促進補助金
第1回:採択公表日 2025/10/1
20次締切(2025/7/25)時点では採択結果が公表されていないため、今回の要件には含まれません。
2)変更点②
審査項目に「米国の追加関税措置により大きな影響を受ける事業者であること」が新たに追加されました。この措置により影響を受けた事業者に対しては、優先的に採択され、対象者は272者でした。
経産省の「米国関税対策ワンストップポータル」では、今回の措置(自動車・部品、鉄鋼・アルミ派生品、相互関税等)や影響が想定される品目について記載されています。
詳細は下記のPDFより確認できます。
https://www.meti.go.jp/tariff_measures/pdf/251008_fukajokyo.pdf
この変更点は申請者の減少に関与したとは考えづらいですが、採択発表の際に内訳が公表されていることから重要な審査要素と思われます。
要因③:新規補助金制度の開始
2025年度よりものづくり補助金のほかに新たに3つの補助金が始まりました。
具体的には
・新事業進出補助金
・中小企業成長加速化補助金
・中小企業省力化投資補助金(一般型)
の3つです。
特に本年度から始まった省力化補助金一般型に関しては以前にコラムで触れたとおり「生産プロセスや提供方法の改善」という以前のものづくり補助金で申請していた分類がそのまま省力化補助金一般型に移管されました。
生産手法の効率化を目指す事業者はこちらで申請せざるを得ないことから申請者の分散につながったと言えます。
また、ものづくり補助金の申請者数とは関係ありませんが省力化補助金一般型は採択率も高いため本年度は狙い目です。
まとめ
ものづくり補助金20次では、採択率が34.4%と若干持ち直した一方で、申請者数・採択者数は共に前回の約半分となりました。
この背景には以下3つの要因が影響していると弊社は分析しました。
・公募間隔の短縮(18次→19次は1年、19次→20次は3ヶ月)
・過去の補助金受給実績に関する規制強化(対象期間が16ヶ月に延長、対象補助金が追加)
・新しい補助金制度への申請者の分散(特に省力化補助金一般型への移行)
弊社でも申請サポートを行っていますので申請を考えている事業者様はぜひご相談お待ちしています。
詳細は以下のURLより
ものづくり補助金公式HP
ものづくり補助金19次公募採択結果についての弊社ブログ
ものづくり補助金20次公募と21次公募の変更点についての弊社ブログ
省力化補助金についての弊社ブログ









