いつもブログをご覧いただきありがとうございます。先日、IT導入補助金4次公募の採択結果が発表されました。
IT導入補助金通常枠は1次から3次までは全国平均採択率が51%、41%、30%と下がり続けていましたが、今回の4次では34%と若干の回復を見せました。
インボイス枠も同様に、1次から3次にかけて58%、47%、40%と下がり続けていましたが、4次では43%と若干持ち直しました。
しかしながら、両枠全体の申請者数が前回より大幅に減少しており、それに伴い交付決定数も減少しています。そこで今回は前年度と比べてどう変化しているのかについて分析しました。
この件について気になる方はぜひ最後までお付き合いください。
今回の結果について(2025年9月30日発表)
今回の採択率は以下のURLより確認できます。
https://it-shien.smrj.go.jp/download/grantdecision_list/
通常枠は申請数2,742件、交付決定数935件、採択率約34%と第3次締切より採択率に関しては若干の上向きを見せました。しかしながら、依然として採択率には厳しいものがあります。
インボイス枠は申請数6,584件、交付決定数2,852件、採択率約43%となっています。こちらに関しても通常枠と同様の傾向が見られます。

前年度との比較について
・通常枠
下記の表とグラフはIT導入補助金2025通常枠の結果とIT導入補助金2024通常枠の結果をまとめたものです。表とグラフは申請数、交付決定数、採択率に加え前回公募からの申請数、交付決定数の増減を加えたものです。
IT導入補助金2025は4次締切までしか結果が出ていないため、IT導入補助金2024との比較データの量に差が生じています。


今年度の1次締切は、昨年度の高採択率もあり申請者数の大幅増加が見られました。
昨年度の1次締切は申請者が1,576件だったのに対し、今年度は2,979件と約2倍の数字となっています。その傾向は2次、3次でも続き、昨年度以上の申請者であったことが見て取れます。
しかし、今回の4次締切よりその流れが変わりました。これまでの1次、2次の採択結果を受け、申請しても採択が得られないと判断して申請を見送る事業者が増え、申請者数が減少したと想定されます。その結果、母数が大幅に減ったため採択率は上がりましたが、交付決定数が減少しました。
グラフからも昨年度は70%前後で推移していた採択率が、今年度は30%から40%と大幅に落ちており、昨年度との乖離がはっきりと見て取れます。
・インボイス枠
先ほど同様にIT導入補助金2025インボイス枠の結果とIT導入補助金2025インボイス枠の現在の結果をまとめたものです。


2024年度の採択率が95%前後と非常に高かったことから、2025年度は申請が増加したと想定されます。特に1次締切では前年の約4倍となる6,446件まで増加しました。
この要因として、昨年度は公募が約二週間に一度設けられていました。しかし、今年度の公募は約一ヶ月に一度のペースになっています。それにより今年度は昨年度の二回分の申請者が一度の公募に集まり、これほどの申請者数になっていると考えられます。公募間隔が異なるため一回の申請者数では単純比較が難しくなっています。
上記の要因を加味した上で比較する場合には、昨年度の1次締切と2次締切を足した申請者数と今年度の1次締切の申請者数を比べることが妥当です。
昨年度の1次締切と2次締切を足した申請者数は約3,000件になります。そのため、実際には申請者数が昨年度に比べて2倍以上に増えているということがわかります。
そこで、今年度の4次締切の比較対象である昨年度の7次と8次締切の申請者数を足したものを比べてみます。昨年度の7、8次締切の申請者数の合計が約5,500件に対し、今年度の4次締切の申請者数は約6,500件となっています。前回公募から減少しているとはいえ未だに昨年度以上の申請者数であることが分かります。
今回の結果から分かること
今回の4次締切は両枠共に前回の3次締切からの申請者数の減少が見られますが、インボイス枠に関しては昨年度を上回る申請者数となっています。そのような状況下で採択倍率が厳しいのもありますが、採択数自体が減らされている状況です。
それが周知されてきていることから申請を控える事業者が増えている状況だと推測されます。
更に公表されてはいませんが今年度は賃上げ加点の比重が昨年度に比べて大きくなっていることが明らかです。
昨年度までは採択されていたであろう事業者様も今年度に関しては・・・なかなか採択されにくいケースも多く見受けられます。
まとめ
昨年度までのIT導入補助金は全国平均の採択率が高かったため申請すれば高確率で採択されるという印象を持つ方も少なくなかったと思います。
しかしながら、今年度は状況が一変しています。全国平均採択率が大きく下がり、審査のハードルも上がったことから今までと全く異なる補助金になってきました。
政府は2030年までに最低賃金を平均1,500円にするということを仰っています。
この傾向は、来年も継続する可能性は十分に考えられます。
弊社もしっかりと傾向を分析して今後に備えていきます。









